戦後生活1

 
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12歳で一人暮らしをするようになってから、多くの人に助けられましたが、とりわけ、寒いときに毛布や上着、暑い日には沢山の水、その他多数のマッチや、鍋などの日常生活品に至るまで、多くのものを置いていく若い男の人がいました。

 

私よりはずいぶん年上でしたが、それ以外は何も分かりませんでした。

 

その人は、忘れた頃に現れてはまたそのように、多くのものを置いて去っていきました。

 

顔は知らないので親戚や友人から頼まれて来ているのだろうと思っていました。

 

こちらも話しかけることはなく、向こうも話しかけてこようとはしなかったので、誰であるかも分からない人からの差し入れを頂いて生活をするという不思議な生活を送っていました。

 

その人はそれからもずっと同じように私の前に現れては、色々なものを置いていきました。

 

私が30歳を過ぎて不思議な経験をした頃から、突如としてその人に興味を持つようになりました。

 

親切にも程がある。

 

あまりにも分量の多い差し入れで、そしていつも定期的すぎる位に現れる。

 

いったい私とどのような関係にある人なのだろうかと頭を悩ませましたが、今さら話しかけるのも気が引ける思いがしました。

 

一度なぜ、このようなことをしてくれるのかということを尋ねてみようかとも思いましたが、物を置いたらすぐに行ってしまうので、尋ねる空気にもならず、やはり何も聞けないまま、また年月が過ぎ去っていきました。

 

私が40歳になろうとする頃でした。

 

私はいつものように新聞を拾って読んでいると、ある会社、それも大きな企業に関する記事があったのですが、そこで、いつも私に差し入れをする人物の顔を確認したのです。

 

その人がその大企業の社長さんの隣に座っている写真でした。

 

全く分からなくなりました。

 

一体私と何の関係がある人物だろうかと思いを巡らしましたが、まったく、想像が出来ません。

 

親戚や友人などから聞いても、これといって期待のもてる情報は出てきませんでした。

 

その後もその人は現れ続けましたが、何か大企業にあるということが分かって話しかけたなどと思われるようなことがあったら、さらに面倒だと思い、何もなく変化のない関係が続きました。

 
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